研究概要 |
植物におけるプリンヌクレオチドの特性を調べるため,ニチニチソウヨウシュヤマゴボウ,ポプラ,スギなどの培養細胞,チャ,ツバキ,サザンカなどのCamellia属の植物,コ-ヒ-,ハネモなどでプリンの合成系と分解系,プリンから派生する二次代謝系であるプリンアルカロイド合成系について検討した結果,以下のことが明らかにされた。 1.すべての植物に,プリンヌクレオチド生合成のde novo経路とサルベ-ジ経路が存在しており,これらの経路は,細胞質と葉緑体にあることが示唆された。 2.プリンの分解経路について,アデニンヌクレオチドの場合は,AMPデアミナ-ゼ,グアニンヌクレオチドの場合は,5^1ーヌクレオチダ-ゼとグアノシンデアミナ-ゼで始まる経路が主要なものであることが明らかにされた。 3.アデニンヌクレオチドの分解の調節的段階は,AMPデアミナ-ゼの反応であり,細胞内のATPとGTPのレベルにより活性が調節されることが示された。 4.Camellia属の植物のうちチャには,カフェインまでのプリンアルカロイドが存在するが,この合成系が発現するのは,葉や花のみに限られ,さらに若いステ-ジの時のみにみられる。プリン合成系は,メチルトランスフェラ-ゼの活性発現により調節されている。コ-ヒ-葉でも若い葉のみでカフェインの合成がみられた。Camellia属の植物には,C.irrawadieucesのように,テオブロシンの合成系まではあるが,メチル化の最後のステップを欠損している植物もあった。 5.プリンアルカロイドの合成系がある植物種では,ない種に比べ,プリン分解系活性が著しく低かった。
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