シロザのクロロフィル分解活性の性質およびクロロフィリドよりMgを脱離させる酵素、Mg-デキレタ-ゼの存在について検討した。クロロフィルの分解過程を経時的に調べたところクロロフィルは急速に分解され1時間後には完全にフィト-ルのとれたクロロフィリド類に変化していることがわかった。このことはシロザ抽出液には強いクロロフィラ-ゼ活性が存在していることを示している。分光的な測定の結果、この中にはフェオフェルビドも含まれており、DEAE-トヨパ-ルを用いたカラムクロマトにより分離して定量した結果、約40%はフェオフォルビドとして存在していることがわかった。この結果はC_<18>-HPTLCやこの科研費によって購入されたHPLCを用いたクロマトの分析結果とも一致している。クロロフィルの分解活性は主に膜成分に存在し、熱処理により失活すること、またクロロフィルではなく、クロロフィリドからMgが脱離しフェオフォルビドが生成することがわかった。分解活性は1mMのSH試薬、KCN、Tironでは阻害されないが、アスコルビン酸やpropylgallateで9%の阻害がみられた。EDTAなどのキレ-ト剤では13-25%の促進がみられ、Mn添加では8%の促進が、Mgでは逆に強い阻害がみられた。このことは、MgではクロロフィリドからのMgの脱離反応が阻害されることを示している。以上の結果より、シロザのクロロフィル分解活性は酵素によるもので、フェオフォルビドの特異的生成とそのMgによる阻害はMg-デキレタ-ゼの存在を示すものである。このことについては論文の投稿を予定している。また、ラベルされたクロロフィルを基質としてみかんの果皮でも実験を行い、同様の結果を得ている。このことは現在論文として印刷中である。次年度はMg-デキレタ-ゼの精製を行ないその性質を明らかにする予定である。
|