ジベレリン欠損矮性突然変異体 (d5) と正常高性 (N) トウモロコシの中胚軸をに於て、表皮細胞の接線方向面 (Epーt) と半径方向面 (Epーr)、及び皮層細胞の半径方向図 (Cーr) とについて、細胞壁微小管 (MT)の配向を蛍光坑体で比較観察した。また、GAの影響も調べた。Epーtでは、d5でもNでも、斜配向が一般的であるが、d5で特に顕著であり、下方の組織ほど縦配向が増加する。伸長軸に直角にはいこうするMTは、d5では上部のごく限られた区域でのみ見られた。Epーrでは、Nもd5もMTはほとんど直角配向であるが、d5のみ若干斜配向が認められた。Cーrでは、Nはすべての細胞が直角配向のMTを示したのに対して、d5はかなりの細胞が、特に、下方の組織で斜配向のMTを示した。いずれの細胞でも、Nでもd5でも、GA処理により、MTはほとんどすべて直角配向に変わった。矮性成長は、内生のGAの生産が限られているため、直角配向のMTを持つ細胞が少ないことに関連していると推定される。 2.d5とNの第2葉鞘の細胞壁組合を比較すると、量的割合で両者に有為さのあったのは、ヘミセルロ-ス (HB) 分画であり、d5の方が含量多かった。HB分画の構成分子の分子量分布を調べると、d5のHBは高分子領域にピ-クがあり、NのHBは低分子領域にあることがわかった。また、GA処理により、d5の葉鞘が伸長促進されるい場合、d5のHBはNのHBと同程度の分子量域へとシフトした。この結果は、伸長成長には細胞へ基のHBが大きくかかわっていること、GAによる細胞伸長促進作用はこの細胞壁のHBと何らかの関係があることを示唆している。
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