研究概要 |
1.P700ークロロフィル蛋白質複合体の遺伝子の構造とその発現を制御する因子を解明する課題。 (1)P700ークロロフィル蛋白質複合体の20kDaサブユニットをコ-ドする遺伝子のクロ-ニングおよび塩基配列の決定は昨年度完了した。今年度,この遺伝子産物の役割を架橋反応を用いて検討したところ,このサブユニットが複合体の電子受容体であるフェレドキシンと特異的に架橋することが明らかになった。すなわち我々がクロ-ニングした遺伝子産物はフェレドキシンードッキング蛋白質であることを明らかにそた。本課題は完了し論文として発表した(Plant Cell Physiol 31,871ー879,1990)。 (2)P700ークロロフィル蛋白質は光エネルギ-を利用してプラストシアニンからフェレドキシンへの電子伝達を触媒する複合体として定義される。我々は,キュウリから単離した8個のサブユニットからなる複合体が高い活性を示すことを見出した。また,複合体の18.5kDaサブユニットがプラストシアニンからP700への電子移動に必須であることを明らかにした。本課題は完了し論文として投稿中である(Biochim.Biophys.Acta)。 (3)P700ークロロフィル蛋白質複合体の8個のサブユニットのNー末端アミノ産配列を決定し,サブユニットの遺伝子を同定した。本課題も完了し論文として印刷中である(Biochim.Biophys.Acta)。 2.クロロフィル,ヘム等のピグメントとポリペプチドの生合成の関係を明らかにする課題。クロロフィル合成阻害剤および蛋白質合成阻害剤を用いて検討し,その結果は論文として発表した(Plant Cell Physiol 31,639ー647,1990)。 3.遺伝子操作によりプレカ-サ-・プラストシアニンを大腸菌で発現させ,プロセッシングおよび銅の取り込み機構を明らかにする課題。大腸菌で発現させたプレカ-サ-・プラストシアニンはin vitroで成熟型の蛋白質と同じサイズに切断されること,成熟型のアポ-蛋白質は銅を取り込むことが可能であること,このように再構成したプラストシアニンは野生型のものと同じ活性を有することが明らかになった。本課題は論文として印刷中である(Biochim.Biophys.Acta)。
|