研究概要 |
本申請者は出芽酵母Saccharomyces cerevisiaeの胞子形成に必須な遺伝子spoT7関して既にクロ-ニングを行い、その塩基配列を決定した。その結果、spoT7 DNA領域には3087bpのORFが存在し、塩基配列のコンピュ-タ解析によりその蛋白は膜構成蛋白質であることが示唆された、また顕微鏡観察によりspoT7変異対では液胞が達しないことを見いだした。そこで、spoT7遺伝子の産物を同定することを目的とした。野生型とspoT7突然変異体細胞から蛋白を調製しポリアクリルアミド電気泳動法で解析した結果、分子量約100,000の蛋白質に差異が認められた。次に、細胞ホモジェネ-トを遠心法により分画した試料の蛋白を解析した結果、その分子量100,000の蛋白質は膜画分に存在することを明らかにした。これらの結果より、この蛋白質がspoT7遺伝子の産物であると考えられるが、現在、液胞膜を調製しさらに二次元電気泳動法を用いて研究を進めている。また、各種胞子形成不能突然変異体のタンパク質を同様に解析した結果、胞子形成の過程に於て特異的蛋白が合成または消滅することが明らかになり、3種のspo突然変異体に於て遺伝子とそれに支配される蛋白の関係が示唆された。 一方、胞子形成不能突然変異体の核型の巨大DNA分離用電気泳動で解析したところ、第3番染色体の長さが顕著に変動していることを見いだした。そこで現在、この現象が胞子形成能と関連があるのかどうかを確認する実験を行っている。
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