研究概要 |
本申請者は出芽酵母Saccharomyces cerevisiaeの胞子形成に必須な遺伝子spoT7をクロ-ニングし、その塩基配列を決定した。その結果、spoT7は3087bpのORFを持ち、1039アミノ酸から成る蛋白をコ-ドしていること、及び遺伝子破壊によりその蛋白が細胞増殖にも必須であることを明らかにした。一方、その3087bpのORFの3'末端には逆方向でしかも胞子形成特異的に発現する36アミノ酸から成る蛋白が存在することを明らかにした。また、顕微鏡観察によりspoT7変異体では液胞が発達しないことを見いだした。そこで、野生型細胞とspoT7変異体細胞から液胞膜を調製し二次元電気泳動法で解析した結果、分子量約70,000、等電点7.0と分子量約64,000等電点6.5の蛋白が野生型細胞には存在するが、spoT7変異体細胞には存在しないことを明らかにした。従って、SPOT7遺伝子の産物はこれらの蛋白の生成に関与していると考えられる。 一方、胞子形成不能突然変異体の核型を巨大DNA分離用電気泳動で解析したところ、第3番染色体の長さが顕著に変動していることを見いだした。更に解析を進めた結果、S.cerevisiaeには株によりその第3番染色体DNA長が350Kbのものと450Kbのもがあり、450Kbのものは紫外線処理をすることによりDNA長が変動することを明らかにした。 また、酵母属間の系統進化を染色体レベルで比較解析するため、S.exiguusを材料とし、その染色体構成を明らかにする研究にも着手した。
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