研究概要 |
日本固有の植物、シラネアオイは外部形態、染色体、化学成分などの点が異なることより、キンポウゲ科より独立した1種1属の科として分けられたが、その類縁関係は明確にされていなかった。 今回、シラネアオイの類縁関係を明らかにするため、種子貯蔵タンパク質を分析した結果、主要成分として分子量約41,600と27,600の大ポリペフチド鎖と分子量約22,100の小ポリペプチド鎖からなる11S・グロブリンを含むことが明らかとなった。類縁関係と調べるために、分子量41,600の大ポリペプチド鎖と22,100の小ポリペプチド鎖を電気泳動法により、精製を行ない、その精製された2種類の分子種に対する抗体をウナギを用いて作製した。それらの抗体を用いて、被子植物40科約100種類の種子タンパク質との抗原抗体反応の有無を調べた。また定量化のため、デンシトメ-タ-を用いて、ポリペプチド鎖のタンパク質量当りの抗原抗体反応量を測定した。 得られた抗体のうち大ポリペプチド鎖の抗体は特異性が低く、類縁関係を調べることには問題があることがわかった。しかし、小ポリペプチド鎖に対する抗体は極めて特異性が高く、類縁関係を調べるための有力なプロ-ブとなることがわかった。小ポリペプチド鎖抗体との反応性を調べた結果、キンポウゲ科のヒドラスチス属、オダマキ属などとの反応性が高くまた、オトギリソウ目のマタタビ科との反応性も高いことがわかった。一方、従来、類縁が示唆されていたボタン科の植物の種子タンパク質との反応性はまったく認められなかった。現在、さらに詳しく、調べるため反応性の高かった、ヤマオダマキなどの種子タンパク質の抗体を作製している。
|