アフリカツメガエル卵のホモジネ-トより、50ー60%飽和の硫安で沈澱する蛋白分画を得た。これをSDSーPAGEにかけると、試料中には卵黄蛋白質のリポビテリンが含まれていることがわかった。さらにセファクリルSー200を用いたカラムクロマトにより、リポビテリン1とリポビテリン2を分離した。卵に含まれていたオ-ルトランスレチナ-ル(レチナ-ル_1とレチナ-ル_2)は、リポビテリン1と共に分離された。両者はシッフ塩基結合し、モル比(リポビテリン1/レチナ-ル)は12ー23であった。 卵黄蛋白質は母体の血しょう蛋白質ビテロゲニン由来なので、ビテロゲニンとレチナ-ルの関係を調べた。雄ツメガエルに雌性ホルモンのエストロゲンを投与すると、肝臓でビテロゲニン合成が誘導され、血中にビテロゲニンが出現する。それと平行して、レチナ-ルも血中に現れる。また、レチノ-ル量も増大する。Mg^<2+>・EDTAによる分別沈澱法で血しょうからビテロゲニンを分離すると、レチナ-ルも共に分離された。両者はシッフ塩基結合をしていた。よって、レチナ-ルもビテロゲニンと同様肝臓で生成され、共に血中に放出され、卵巣で卵母細胞に取り込まれると考えられる。 卵のレチナ-ルは、卵発生の過程でビタミンA源として利用されていく、食餌なしでも成育可能なステ-ジ46までに、卵レチナ-ルは消費され、かわりにレチニルエステル(主にオ-ルトランスレチニルパルミテ-ト)が蓄積する。この変化は、眼とそれ以外の部分では、時間的なずれが認められる。眼には卵レチナ-ルの約20%が分配されるが、ステ-ジ42でほぼ消失する(ただし11シスレチナ-ルは生成している)。一方、腹部では、ステ-ジ46でやっと卵レチナ-ルが消失する。また、後者から前者への、血流によるレチノイド輸送も示唆された。
|