• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

1989 年度 実績報告書

ヒメゾウリムシの寿命遺伝子の機能解析

研究課題

研究課題/領域番号 01540596
研究機関奈良女子大学

研究代表者

高木 由臣  奈良女子大学, 理学部, 助教授 (90079682)

キーワードParamecium tetraurelia / ゾウリムシ / 寿命遺伝子 / jumyo mutant / 成長因子 / ParGF
研究概要

我々が先に分離したヒメゾウリムシのjumyo mutantは、クロ-ン寿命が短く、単離培養系で飼育したとき分裂速度が低いという特徴をもつ。この変異株を集団培養系で飼育すると、野性株なみの分裂速度に復帰することから、細胞外液に自らの分裂を促進する物質を分泌していることが示唆されていた。今回この物質の分離精製を試み、分子量17,000のタンパク質を同定することに成功した。まずjumyo mutantの集団培養液からヒメゾウリムシを除き、限外濾過法により100倍に濃縮した液を原試料とし、以下の5段階で精製した。1)陽イオン交換クロマトグラフィ-(CMーSepharose)では、非吸着画分に活性を検出。2)陰イオン交換クロマトグラフィ-(DEAEーSepharose)では、0.1M NaCl溶出画分に活性を検出。3)ゲル濾過(Sephacry1)では、分子量1〜5万の画分に活性を検出。4)陰イオン交換クロマトグラフィ-II(MonoーQ)では、70mM NaCl溶出画分に活性を検出。5)SDSーPAGE電気泳動で分子量17,000の単一バンドを得た。
この精製物質は、熱に不安定で、タンパク分解酵素処理で失活し、pH5〜9の範囲では活性が保持された。さらにこの精製物質は、微量でjumyo mutantの分裂を促進した。以上の特徴から、この精製物質は「成長因子 Growth Factor」の範疇に入る物質であるとみなされ、Paramecium Growth Factor(略してParGF)と名付けた。従来哺乳類以外の細胞でも、成長因子のアミノ酸配列に類似したDNA塩基配列をもつことが報告されているが、物質として同定されてはいない。したがってParGFは、哺乳類以外の細胞で成長因子として同定された最初の例と思われる。
単離培養系でのjumyo mutantの分裂を促進する物質は、jumyo mutant自身の他に、St51株からも分泌されていることがわかった。この株は、突然変異誘発剤処理によりjumyo mutantを分離するのに用いた親株である。したがってjumyo 遺伝子は、ParGFの構造遺伝子ではなく、ParGFの生産を調節する遺伝子、またはParGFのリセプタ-の遺伝子の可能性が示唆された。

  • 研究成果

    (4件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (4件)

  • [文献書誌] TAKAGI,YOSHIOMI: "GROWTH PROMOTING SUBSTANCE SECRETED BY THE JUMYO MUTANT OF PARAMECIUM TETRAURELIA." ZOOLOGICAL SCIENCE. 6. 1210 (1989)

  • [文献書誌] 高木由臣: "ヨツヒメゾウリムシのjumyo変異株が分泌する分裂促進物質について(II)" 基礎老化研究. 13. 129-130 (1989)

  • [文献書誌] TAKAGI,YOSHIOMI: "The jumyo mutant of Paramecium tetrauvelia secretes growth promoting substancecs)" VIII INTERNATIONAL CONGRESS OF PROTOZOOLOGY PROGRAM AND ABSTRACTS. 119 (1989)

  • [文献書誌] TANABE,HIROYUKI: "PURIFICATION AND CHARACTERIZATION OF PARAMECIUM GROWTH FACTOR(PARGF)." BIOCHEMICAL AND BIOPHYSICAL RESEARCH COMMUNICATIONS.

URL: 

公開日: 1993-03-26   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi