1.Paramecium caudatum及びParamecium multimicronucleatumからのゾウリムシ成長因子の分泌。 筆者らは昨年、P.tetraureliaのjumyo変異株が、ゾウリムシ成長因子(ParGF)を分泌していることを発見し、その分離・精製に成功した。さらに、jumyo変異株以外のP.tetraureliaの様々なストックからも、同様の作用をもつ物質が出ていることを明らかにした。今年度は異種ゾウリムシ(表記の2種)からのParGF様物充の分泌を調べた。まずそれぞれの種の様々なストックについてフラスコカルチャ-を準備し、定常期初期のカルチャ-からゾウリムシを除去したConditioned Mediumを、限外濾過法により約100倍に濃縮し、これが jimyo変異株の遅い分裂速度を回復できるかどうかを調べた。jumyo変異株の単離倍養を5日間続け、一定量の濃縮液を添加したとき平均分裂速度が有意に上昇するかどうかを、当該ストックがParGFを分泌しているかどうかの判定基準とした。 結果は、調査したP.caudatumの6ストックとP.mutimicronucleatumの4ストックすべてについてParGFの分泌が示唆された。両種ともに、調査ストックの中には接合型の異なるものが含まれており、特定の性に限られた分泌ではなかった。 2.ウシ胎児血清のゾウリムシに対にする分裂促進作用 様々な哺乳類成長因子について、特定の単一濃度で、上記アッセイ法を用いてゾウリムシに対する分裂促進作用を調べたが、現段階ではいずれも効果を認められなかった。そのとき一緒に調べた2%ウシ胎児血清(FBS)が、顕著な分裂促進作用を示した。このことから哺乳類成長因子の効果については、なお詳細に調べる必要を感じている。
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