研究課題/領域番号 |
01540609
|
研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
中澤 透 東邦大学, 理学部, 教授 (90164160)
|
研究分担者 |
谷本 さとみ 東邦大学, 理学部, 講師 (60057750)
|
キーワード | 動物初期胚 / ミトコンドリア / タンパク質合成 / アセチルコリンエステラ-ゼ / ウニ胚 / ヒトデ胚 / コオロギ胚 / アフリカツメガエル胚 |
研究概要 |
動物胚においては、受精後胞胚期までは卵細胞質に貯えられた情報が発現までに到らずに存在し、分化の段階に到つて急激に新らしい情報が発現し始めることが知られている。この過程は胚の分化の第1段階と考えらるが、これに先行して有効にはたらく機序が想定される。このような点から胞胚期以降の転写・翻訳の活性化が重要との考えで研究が進められた。これまでにウニ、ヒトデ、コオロギおよびアフリカツメガエルの胚において、同様な発生時期にタンパク質合成能の急激な増加がおこり、しかもこの活性はミトコンドリアの分画において特異的に高まることを、当研究室においてすでに明らかにした。平成元年度においては、コオロギ胚のミトコンドリア分画のタンパク質のうちDEAE-セファデックスによる分画の2画分のみにタンパク質の合成が高まることが明らかになった。一方、ミトコンドリア分画におけるタンパク質合成活性の増大は、胚盤葉期のmRNAによって誘導されることが確かめられた。これらの結果に加えて、ウニ胚の発生におけるアセテルコリンエステラ-ゼ活性の上昇と酸素分子の変動を調べた結果、のう胚期に入ると同時に急激な活性の上昇がおこり、またこの時期まではゲル電気泳動のバンドが1本であった酵素が2本に分離すること、この2本のバンドの酵素の細胞内局在が異なり、後から生じるバンドの酵素はミトコンドリア分画に、初めから存在するものは低速遠心で沈殿する分画に存在することが明らかになった。 以上の結果により、当初の研究ではタンパク質合成活性がミトコンドリア分画で特異的に上昇することが示され、それらのタンパク質の性質について追及が進められているが、一方新たに上記の特定の酵素で活性上昇と関連するタンパク質合成とミトコンドリアの関与の可能性が見出され、次年度以降に研究課題の展開を進める見通しが得られた。
|