研究概要 |
丹沢ト-ナル岩体の北西部に当たる、石割山地域からト-ナル岩およびこれに接するホルンフェルスを採取し、角閃石、黒雲母を分離してKーAr年代測定を行った。また、石割山地域の北に分布する小岩体、鹿留岩体から得たト-ナル岩からも角閃石を分離し年代を測定した。これらの試料から得られた角閃石は6.7〜7.0Maの年代を示した。一方、石割山から得られた黒雲母の年代は8.4Maと角閃石に比べて有意に古かった。一般に深成岩中の黒雲母は角閃石より若い年代を示することが知られており、この古い年代は黒雲母が過剰アルゴンを含んでいるためと解釈される。 昨年までの年代測定で10Ma前後の古い年代を示した、丹沢ト-ナル岩体南西部の大又沢地域の角閃石試料の ^<40>Arー ^<39>Ar分析を行った。試料のカリウム含有料が低いため、1試料をのぞいて意味のある結果は得られなかった。唯一意味のある結果は、大又沢の角閃石が過剰Arを含んでいることを明らかに示している。 以上の結果と前年度までの結果を合わせると、丹沢ト-ナル岩体の形成時期は7Ma頃となり丹沢地塊と本州弧の衝突開始に関連している可能性が示された。以上の結果は1990年春の地球電磁気・惑星圏学会、金沢市で開かれたAGU西太平洋会議および1991年1月中華人民共和国・広州で開かれた第2回中日地球化学宇宙化学同位体地学シンポジウムで発表された。また日本地球電磁気・惑星圏学会誌J.Geomag,Geoelect,に投稿中である。 なお、石割山地域から得られた黒雲母については、 ^<40>Arー ^<39>Ar年代測定を継続する計画である。
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