研究概要 |
1.南部北上山地と飛騨山地(飛騨外縁帯)に分布する古生層の岩相層序・化石内容について既存の試料を検討した結果、それらが相互に似ており、地体構造的に両者は一連のものであると予想されるに至った(田沢,1989)。 2.南部北上山地・阿武隈山地東縁部・飛騨外縁帯のペルム紀腕足類動物群は、北方型とテチス型の両者がまじる混在群集であり、シホテアリン南部のものと属構成がよく似ている(Nakamura & Tazawa in Ichikawa,印刷中)。特にそれらのうちの中期ペルム紀腕足類動物群は、シホテアリン南部(ウラジオストク)・中国東北部(吉林省南部)・内蒙古東部(翁牛特帯)のものと北方区・テチス区の要素の混合の程度が似ており、さらにカタイシア型の植物化石を産することでも共通する。おそらくこれらの地域はペルム紀の当時、中朝地塊周辺の大陸棚の一部をなしていたと考えられる(Tazawa in Liu et al.,印刷中)。 3.南部北上山地-飛騨外縁帯の外側のテレ-ン、すなわち、北部北上山地と西南日本内帯・外帯のジュラ紀テレ-ンの位置関係を考察するうえで、これらの地域に普遍的に存在するチャ-ト・砕屑岩シ-クェンスの比較が重要である(松岡,1989)。 その具体例として、北部北上山地田老帯と西南日本外帯斗賀野サブテレ-ンの岩相層序と放散虫化石を比較検討した結果、両者が連続する可能性があることがわかった(松岡,1990)。
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