研究概要 |
われわれは、昭和62年度〜平成2年度文部省海外学術調査・研究によってブラジルのカ-ボナダイト・アルカリ複合岩体,ラテライト地域より多数の岩石・鉱物試料を採集し整理,内容を報告した。更にこれらの標本試料の予備調査によって、対象試料の多くに風化・熱水変質等に伴なう微細構造・組織が存在することが判明、これらの詳細な検討の必要性を指摘した。本研究ではこの点の解析に着手し昨年度来成果の発表を行なってきたが、本年度も次の内容の発表と活動を行なった。既ち第一に、ブラジル南部地域の炭酸塩質マグマとジャクピランジャイトとの接触変成に伴なう鉱物組織の観察結果を報告した(三鉱学会)。本報告の中心は、反応に伴なって生成した特にチタン鉱物の組織観察・解析であり、磁鉄鉱、磁鉄鉱から離溶したチタン鉄鉱などの化学分析を行ない微量元素の分配などを検討した。第二にサンパウロの北方地域産の磁鉄鉱とそこから離溶のゲイキライトについて組織観察・化学分析を行ないカ-ボチタイトの起源を検討,また複合岩に由来するアナタ-ゼの生成を考察してこれがペロブスカイトの仮像であることを確認した。更にペグマタイト鉱物を予備調査し、以上を標本試料の収蔵先である総合研究資料館ニュ-ス上で報告した。なお本研究ではブラジル産試料に限らず、本邦産鉱物の熱水変質等を微細組織解析から検討することも課題としており、試料の収集に努めた。次年度において特に透過電顕,走査電顕,EPMAを用いて検討の予定である。
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