研究概要 |
1.小笠原諸島第三紀火山岩の研究 (1)父島南西部に島弧ソレアイト類似の岩石を発見した。微量元素の測定により無人岩系列とは異なるマグマから導かれたことが明らかになった。本火山岩は玄武岩質山岩から流紋岩にわたり、一般に無斑晶質で最も苦鉄質のものに少量の斑晶普通輝石が存在するが、それは全岩組成を反映して無人岩のものよりTiに富む。無人岩系列岩よりTi,Al,P,Vが高くSiが低い。K,Rbは無人岩と等しく母島の島弧ソレアイトより高い。 (2)父島東部に層状岩脈群を確認した。無人岩枕状溶岩層の最下部が露われる石浦付近には、幅0.5〜2m、北西ー南東方向の無数の平行岩脈がある。これは、単斜頑火輝石を含むことが多く、東方海面下に向かって岩脈の密度は高くなり、オフィオライトに見られる層状岩脈群の上部を表わすと考えられる。 (3)各種地質温度計より無人岩の生成温度として約1300℃が得られた。カンラン石ースピネル、カンラン石ー液のNi分配、MgO含量などから、無人岩は低圧下1250〜1350℃でマントルかんらん岩から分離したと推定される。これは島弧の火山岩としては異常な高温であり、また、海洋底拡大の証拠とされる層状岩脈群をもつので、無人岩は沈み込んだ海洋プレ-トから水の供給され得る一種の拡大中心で生じたと考えられる。 2.他地域の無人岩類似岩との比較研究 (1)瀬戸内火山岩の微量元素を測定し、日本列島の末分化岩の比較した結果、瀬戸内火山岩はRb/Srが著しく高いことが分かった。 (2)本州東部の銚子及び九州西部の長崎からサヌキトイドに似た高マグネシア安山岩を発見した。
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