1.Meliliteについて:FZ法でCa_2CoSi_2O_7-Sr_2CoSi_2O_7系固溶体の単結晶を10モル%の組成間隔で育成し、格子定数の精密解析、電子顕微鏡と光回折による解析および比熱異常の測定を終えた。電子線回折パタ-ンの解析から、Sr成分が増加するにつれて、(1)衛星反射の強度は減少し変調波の波長は長くなって、Sr成分30モル%の組成で変調構造は見られなくなり、(2)主反射の周りの衛星反射がデイフ-ズして円状の散漫散乱が観察された。格子像の観察から主構造と変調構造からなるドメイン構造が観察され、円状の散漫散乱がドメイン構造の境界層における“短距離秩序"に起因し“クラスタ-モデル"で説明されることが分かった。この事は光回折実験によっても証明された。比熱異常のピ-ク強度はSr成分の増加にともなって激減し、Sr成分10モル%で観察されなり、その原因はドメイン構造にある。ドメイン構造の無いCa_2MgSi_2O_7-Ca_2CoSi_2O_7系固溶体にはこのような現象は起こらず、相転移温度は82℃から220℃に直線的に変化する。これらの事をまとめて論文を作成中である。 2.Laihuniteについて:FZ法でFe_2SiO_4-Mg_2SiO_4、Fe_2SiO_4-Co_2SiO_4、Fe_2SiO_4-CaFeSiO_4系固溶体の単結晶を20モル%の間隔で育成した。つぎに、これらの結晶の針状および薄膜試料を空気中で加熱してLahuniteを合成してX線と電子線で超構造のタイプを決めた。Fe-Mgかんらん石からは2Cと3C_1、Fe-Coかんらん石からは2Cと3C_2、Fe-Mnかんらん石からは2C、3C_1、3C_2タイプの超構造が生成する。Fe_<1.75>Ca_<0.25>SiO_4からはLahuniteが生成するが、Fe_<1.5>Ca_<0.5>SiO_4からは生成しない。大気圧下、300℃以上の温度では、Lahuniteはいかなる酸素分圧下でも安定領域を持たない。これらの事をまとめて論文にした。
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