研究概要 |
1.各種の元素をド-プしたジルコン単結晶の育成 総計45種の元素を単独または対にしてド-プしたジルコンを約150種,フラックス法と熱水合成法で単結晶を育成した。この際,ド-プ元素が単結晶の形態に及ぼす全体的な傾向をまとめて学会誌に投稿した。 2.ジルコンの蛍光スペクトルの測定 ジルコンの蛍光については単行本として出版された“新素材シリ-ズ"ジルコンー科学と技術ー(内田老鶴圃)にこれまでの知見をまとめた。ジルコン結晶中でα線のエネルギ-で生成する蛍光中心については不明な部分が夛いので実験を続行してきた。特に,(n,α)を起す安定元素をジルコンにド-プして,熱中性子照射をしてド-プ元素が結晶内でα線を放出する仕方で蛍光中心を作成する方法を用いた。この蛍光中心は天然のものでは熱漂白しても復活するが,人工合成のものは自然消滅してしまう。この安定化に寄与する安定剤はEu,Tbであることをつきとめた。これら蛍光の測定では高感度光電子増倍管およびノイズを低減化するための電子冷却装置を用いることができた。 3.ジルコンの電子スピン共鳴(ESR)の測定 γ線や熱中性子を照射したジルコンのESR信号の特徴を調べ,α線が作る蛍光中心と一致する原因から発信するESR信号を特定することがでぎた。蛍光法の方が高感度であることも判明した。 4.ジルコンの熱中性子照射実験 ジルコンの蛍光中心を作る実験と併行して,放射化分析,すなわち,ジルコン中の微量元素の定量分析も行った。この際,地球化学的放射性核種のデ-タベ-スも完成させた。また,放射化分析に必要なγ線のエネルギ-の同定のBASIC言語によるプログラムも開発した。
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