隕石は太陽系の始原物質と考えられ、その研究は鉱物学の重要な分野であり、多くの鉱物学的研究が行なわれてきている。しかしその研究も珪酸塩鉱物や金属鉱物に関するものが多く、硫化鉱物に関するものは少ない。 平成元年度は、本研究の初年度であり、設備備品として偏光反射顕微鏡一式を購入すると共に、その周辺機器の整備に努力した。また、多くの隕石リストの中から、コンドライト隕石の硫化鉱物の研究に適した隕石を選び、その入手や薄片の入手などにも努めた。一部の試料は業者より購入し、薄片を作製した。このように、本年度は新しく研究室を整備し、装置を設置することなどを始め、隕石試料の入手、実験試料の作製などに多くの時間を使った。 一方で、造岩鉱物、特に隕石を構成するオリビン、輝石、長石、ピロ-タイトなどについて、その相変化の特徴を考察し、低温での秩序-無秩序相転移に伴う構造変化と、それに基づく微細組織について研究した。 この研究は、個溶体を形成する造岩鉱物の温度変化に伴う相変化について、新しい考えを与えるものであり、近く発表する予定である。
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