研究概要 |
金属ー水素系への磁界効果として、強磁性金属水素化物と水素の平衡に及ぼす磁界の影響を、1.LaCo_5ーH、2.GdCo_5ーH、3.Y_2Co_7ーHの3系について、平衡水素圧の変化から調べた。水素組成の変化に伴う磁化の変化(△Ms)の符号が平衡圧力変化の方向を、また△Msの大きさが圧力変化の大きさを決めることが分かった。また、理論値と高磁界中での測定値とのずれは磁気的なデ-タから説明できた。 1.LaCo_5Hx:LaCo_5H_<4.2>(β+γ共存領域組成)の平衡水素圧を26Tまでの磁界中で測定し、最大6×10^4Pa(0.6気圧)の圧力増加を観測した。磁界中の平衡定数は磁界のないときの67%に減少した。高磁界下では圧力変化に非線形性が出現したが、28Tまでのパルス磁界を用いた磁化測定の結果から磁化の磁界依存性で説明できた。 2.GdCo_5Hx:α+β共存領域(X=1.34,1.35,2.52,2.53)の平衡水素圧を14Tまでの磁界中で測定した。磁界により1.と逆に水素吸収が起こった。これは△Msの符号が負のためである。また△Msの絶対値が水素濃度の高い水素化物中ほど大きいことを反映し、高濃度水素化物中ほど磁界は圧力変化に強い影響を及した。 3.Y_2Co_7Hx:上述の2系は共に2相歴域の水素化物で実験を行ったが、本系ではβ単相領域(X=2〜3)の平衡水素圧を14Tまでの磁界中で測定した。本系は水素組成に対して磁化が振動的に変化する系で、β相では水素吸収に伴い磁気モ-メントが急激に増加する。平衡圧をパラメ-タとして平衡圧変化の磁界依存性を測定した。無磁界中での水素平衡圧の高低によって、磁界中の水素平衡圧変化は(1)ほとんど変化しない(2)減少後6Tで飽和するの2つの傾向を示すグル-プに分類された。(1)は高濃度水素化物(β_H)の△Msがほとんど0であるためであった。(2)は中低濃度水素化物(β_<ML>)が6Tでメタマグネティック転移を起こすためであると考えられる。
|