1.グロ-放電により作成したアモルファス水素化炭素(aーC:H)膜の屈折率nは約1.8であると報告されていたが、実際に作成したaーC:H膜について光導波を試みたところガラス基板の屈折率1.5に近いらしいことが分った。光導波させるためには膜の屈折率を基板より大きくする必要があるため、HeーNeレ-ザを用いてガラス基板上の膜の反射率の入射角依存性の測定から膜の屈折率を求めた。その結果、堆積(非熱処理)膜でn=1.53〜1.55、熱処理膜でn=1.6〜1.7であった。 2.シリコン基板上に作成したaーC:H膜の赤外吸収スペクトルおよび波長310nmの紫外ピコ秒レ-ザ光励起によるピコ秒時間分解発光スペクトルを求め、紫外光照射および熱処理による膜の構造変化との関連を調べた。その結果、水素に関連する450nmを中心とする発光と発光起源は不明の580nmを中心とする二つの発光帯が見出された。 3.石英ガラス基板上に作成したaーC:H膜にルチルおよびLaSFー08プリズム結合器を用いてHeーNeレ-ザ-やラマン励起光である半導体レ-ザ光の導波実験を行った。しかし、理論的計算から予測されるような結合や導波が得られなかった。300Wのタングステンハロゲンランプ光をラマン検索光として用いるが、ランプ光を微小域に効率よく集光することが難しく、プリズムによる光導波結合効率が非常に低い。光ファイバを用いてモ-ドのフィルタリングや集光効率の向上を試みたが、導波は観測されなかった。検索光としても色素レ-ザ-などのレ-ザ-光源を用いないと導波や信号の観測は困難なようである。本研究の要点の光導波が達成できなかったため、ラマン反転信号を観測されていないが、原理的には有用な方法であるので、今後も、色素レ-ザ-などを用いて本実験を継続して行い、その成果を発表したい。
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