研究概要 |
1.WO_3,NiO,WO_3/Mo0_3膜の作製 WO_3膜はW及びWO_3タ-ゲットを用いてrfスパッタ法で作製した。良好なEC膜はWタ-ゲットを用い、スパッタガスは圧力約0.08Torr、酸素混合比15〜20%のアルゴン一酸素混合ガスとし、基板温度を低く保った状態で得られた。NiO膜はNiOをタ-ゲットとし、0.04Torrのアルゴン雰囲気中でrfスパッタ法で作製した。またWO_3/Mo0_3膜はWO_3及びMo0_3を蒸着源として真空蒸着法で作製した。 2.液体電解質を用いたECセルの作製 酸性・アルカリ性及び中性電解質を用いてECセルを作製した。WO_3膜は酸性及び中性電解質内で良好に動作した。一方NiO膜はアルカリ電解質中で良好な動作をした。中性溶液中ではNiO膜はEC動作を示すが、残留着色が見られた。このため固体電解質を採用することとし、WO_3膜とTa_2O_5膜と組み合わせた固体セルについて予備実験を行っている。 3.ECセルの特性の測定 得られた膜の光吸収スペクトルを測定した。いずれの膜も消色時には無色透明であった。着色時にはWO_3は長波長域の吸収が大きく青色に着色し、NiOは短波吸収が大きく黒褐色に着色した。従って両者を組み合わせた相捕型セルでは可視全域にわたりほぼ一様な吸収スペクトルを得ることが期待される。着色効率はWO_3膜で60cm^2/Cであり、NiO膜で36cm^2/Cであった。WO_3/Mo0_3膜ではMo0_3混合比1%程度で劣化の少なくかつ可視域の着色効率の高いものが得られた。
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