研究課題/領域番号 |
01550013
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
冬木 隆 京都大学, 工学部, 講師 (10165459)
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研究分担者 |
吉本 昌広 京都大学, 工学部, 助手 (20210776)
松波 弘之 京都大学, 工学部, 教授 (50026035)
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キーワード | 表面超格子 / エピタキシャル成長 / 原子層制御成長 / 自己制限機構 / 高速反射電子線回折法 / シリコンカ-バイド |
研究概要 |
本研究は、表面超格子を構成する限定された数の原始の表面化学反応を用いて、原子層レベルで成長を制御する新しいエピタキシ-技術を確立し、広禁制帯幅半導体シリコンカ-バイド(SiC)の単結晶成長に応用することを目的とする。超高真空下にあるシリコンカ-バイドに原料ガスのシランを供給した時、熱分解により生成したシリコン原子(水素基を含む)が表面で超格子を形成することが高速反射電子線回折法により初めて見いだされた。この超格子は基板面方位が一定の場合、基板温度、原料供給量によらず常に同一の構造を持ち、真空中においては長時間安定に存在する。この超格子構造を持つ表面に炭化水素ガスを供給した時、表面シリコン原子との反応は、表面超構造の変化として観測できる。反応時間の基板温度依存性より反応エネルギ-が求められ、シリコン原子と炭化水素とが化学反応を起こし、新しいシリコン・カ-ボン結合が形成されていることが確かめられた。原料ガスの交互供給を繰り返すことにより超構造の再配列は連鎖的におき、単結晶成長が進行する。成長速度は、自己制限機構により常に一定数に保たれている。超構造構成原子数で決定されるため、原子層レベルで成長速度が制御出来ることが明確になった。原子層レベルで表面にステップを設けた基板を使うと表面での原子再配列が促進されることが明らかとなり、より低温でのエピタキシャル成長への可能性が開かれた。今後、結晶性改善によるキャリヤ密度、移動度等電子的特性の向上を目指す。さらに、不純物ガスを導入し原子層レベルでの価電子制御を実現して、原子層制御成長条件との関連を明らかにし、新しいエピタキシ-技術を確立したい。
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