研究概要 |
EXAFS法により不純物の周辺の原子配位を測定するためには、10^<18>-10^<19>cm^<-3>の密度の不純物原子からの特性X線を検出する必要がある。これを行うためには、測定側の条件として、(1)試料を透過するX線ではなく表面から放出される蛍光X線を検出すること、(2)回折X線や他の蛍光X線を遮断できることの2点が満足される必要があり、試料側の条件として、(3)測定対象とする原子は母体にのみ存在することが必要である。 (1)(2)(3)の条件をすべて満たす測定法として、本研究では、低角入射による全反射モ-ドを用いた蛍光EXAFS法を採用した。 まず、低密度の原子周辺の配位測定として、高密度から連続的に組成を変化でき、原子配位のよく分かっている(Ga.In)(As,P)混晶を用い、10^<23>cm^<-3>から10^<19>cm^<-3>までの密度のGaおよびAsの原子配位を明らかにした。これにより、密度10^<19>cm^<-3>のGaおよびAsの蛍光EXAFS測定が可能であることが示され、最近接原子の配位数は組成に比例すること、および、結合長は原子種によって決まり、組成によらず一定であることが明らかにされた。 また、エピタキシャル層中の測定原子が基板に母体原子として存在する例としてGaAs基板上のGaInPを取り上げ、上記全反射モ-ドによりGa原子のEXAFS信号の検出に成功した。 これらふたつの測定結果から、GaAs基板上のZnSe中のGaおよびAs原子の原子配位の測定条件は整い、平成2年3月末の高エネルギ-物理学研究所放射光実験施設におけるビ-ムタイムにより、測定を行う予定である。
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