研究概要 |
前年度に引き続いて、GaAs上への層状化合物半導体の薄膜形成を真空蒸着法により試み、GaAsとのヘテロ接合を抵心率の測定およびCーV特性から評価した。層状化合物半導体はGaTe(単斜晶形)およびGaSe(六方晶形)とした。結果を要約すると次の通りである。 (1)Gate薄膜の抵抗率からみたGaAs/GaTeヘテロ接合の評価 GaTe薄膜(基板:GaAs(111)(100)‐ド-プなし‐、およびガラス板)の低抗率をvan der Pauw法および4探針法および4探針法にによって求めた(室温測定)。その結果基板温度 200℃以下で生ずるamorphous GaTe(約4k ohm・cm)と比べて結晶性GaTe薄膜は抵抗率が低く、特にへき開面(GaTe(2^^ー10)(4^^ー20))の発達のよいもの(基板:GaAs(111))は約 16 ohm・cmと最も抵い値を示した。この値は単結晶GaTeのへき開面方向の抵抗率にほぼ等しいものであり、Ga原子のみから成るGaAs(111)面を用いると、Teとの親和力により面上にTe‐Ga‐Te分子が構築されやすく層状のヘテロ接合となりやすいことが示唆された。 (2)GaSe/GaAsへテロ接合の作製と評価 GaAs(111),(100)およびガラス基板上へのGaSe薄膜の作製を試みた。GaAsは硫化物により不活性化処理したものを用いた。蒸着源はGaSe結晶片で、蒸着速度および基板温度、膜厚を変化させ、薄膜X線回折、電子線回折、TEMによる格子像観察等により、GaSe分子の堆積状態、GaAsへのヘテロ接合を検討した。その結果、基板の種類によらず、基板温度250℃以上でGaSeのへき開面(002)、(004)のよく発達した薄膜が成長することが見出された。GaSe/GaAs界面の超薄膜試料をTEM観察すると、GaAs基板上にGaSeが層状に積層しているのが確認された。六方晶GaSeは単斜晶形GaよりGaSeは単斜晶形GaTeよりGaAs面への層状のヘテロ接合が容易である。ヘテロ接合のCーV特性は検討中である。
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