分子線エピタキシ-法によりGaAlSb/InAs/GaAlSbポリタイプへテロ構造の成長を行った。III族ならびにV族ビ-ムの同時切り換えによる成長条件を検討し、急峻なヘテロ界面を得る方法について調べた。ヘテロ構造の特性を評価するため、フォトルミネッセンスとラマン散乱の光学測定を行い、ホ-ル効果の結果との対応についても調べた。 InAs/AlGaSbを高速デバイスに利用する際、良好な電気的特性を得る条件とプロセス安定性等の両条件を満たすAl組成比を決める必要がある。そのためFETに適した構造を思い出すため、AlGaSb障壁層の厚上と組成の異なるInAsチャンネルをもつ3種類の量子井戸構造を作成し、その電気的特性を比較した。チャネル中の電子濃度が高く、かつ移動度の高い構造として、60AのAlSbを障壁にもつヘテロ構造を成長しFETを試作した。ゲ-ト長1.7μmのInAsチャネルFETにおいて、相互コンダクタンスが460ms以上の高い値を得た。これは同一構造のGaAsやInGaAsチャネルHEMTに比較しても優れた特性であり、今後超高速デバイスとして期待のもてるヘテロ構造といえる。 InAs/AlGaSbヘテロ昇面の電子・正孔分布を制御するため、ヘテロ昇面に垂直な電界を印加してフォトルミネッセンスを測定した。タイプIIヘテロ構造では、電子と正孔は異った層に分離して分布する。この電子と正孔の再結合発が垂直電昇により変化する様子について調べた。発光エネルギ-が高エネルギ-に変化するブル-シフトを伴うシュタルク効果を初めて観測した。これはタイプIIヘテロ構造中の電子と正孔の分布が、外部電昇により変調されると同時に2次元準位が変化したことを示している。このシュタルク効果は、高速のオプトエレクトロニクス素子に応用することができる。
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