気体媒質の非線形光学効果を利用した周波数上昇変換は、現在唯一の波長可変コヒ-レント極端紫外光(XUV)発生法として重要である。特に、二光子共鳴四波光混合法(TP4WM)は、高効率の変換法として広く用いられている。しかし、従来の色素レ-ザ-を二光子共鳴用基本波とするシステムでは、発生可能なXUV光の波長領域が70nmより長い波長域に限られていた。 そこで本研究では、波長可変ArFレ-ザ-及びその反スト-クス光を利用して、二光子共鳴用の光源波長を波長200nm以下の真空紫外域に拡張して、TP4WMによる波長可変XUV光の発生波長域の短波長化を計ることを目的に研究を行なった。 その結果、 1.ArFレ-ザ-を基本波として、Kr、H_2ガスジェット中での二光子共鳴第三高調波発生により64nm光の発生を確認した。 2.KrとH_2ガスを比較検討し、H_2の方がKrより10倍以上変換効率が良いことが見出された。 3.2の結果に従って、H_2を非線形媒質として、ArFレ-ザ-と色素レ-ザ-のTP4WMにより、波長可変XUV光の発生を確認した。 4.ArFレ-ザ-の重水素中での反スト-クス光の発生により、波長165nmに二光子共鳴準位を持つAr原子へ同調可能な基本波光を発生した。 これにより、今後70nm以下でも同調可能なコヒ-レントXUV光発生の基礎が確立された。
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