研究課題/領域番号 |
01550046
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
岸田 敬三 大阪大学, 工学部, 教授 (00029068)
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研究分担者 |
中野 元博 大阪大学, 工学部, 講師 (40164256)
片岡 俊彦 大阪大学, 工学部, 教授 (50029328)
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キーワード | 破壊じん性 / KCl単結晶 / 転位 / 応力遮蔽効果 / KClーKBr固溶体単結晶 |
研究概要 |
材料の破壊じん性を支配しているのは、主に、き裂先端での塑性変形すなわち転位の挙動であると考えられる。そこで、転位の観察が容易なアルカリハライド(KCl)や固溶体(KClーKBr,KClーCa^<2+>)単結晶の破壊じん性を、温度、負荷速度、γ線照射量、溶質原子濃度をパラメ-タとして調べ、以下のことがわかった。(a)KCl及びKClー4mol%KBr固溶体の室温以上の温度領域とKClーKBr個溶体は、降伏応力の増加に伴ない破壊じん性が減少した。(b)KCl室温以下の温度領域及びγ線射照射したKClは、降伏応力の増加に伴ない破壊じん性が増加した。(c)KClーCa^<2+>固溶体の破壊じん性は、KClの破壊じん性と較べ、Ca^<2+>固溶濃度が800molppmの場合には上昇し、一方、3200molppmの場合にはほぼ同程度であった。尚、KClーCa^<2+>固溶体の降伏応力は、固溶農度の増加とともに増加した。 破壊じん性の温度などに対する依存性を測定した以上の結果は、降伏応力が転位の運動を記述するパラメ-タであることから、き裂先端での転位の運動だけでは説明できない。従って、破壊のメカニズムとして、き裂先端からの転位の生成を考慮しなければならない。KClの破壊じん性と降伏応力の関係は、γ線照射や固溶体形成により点欠陥が導入されている場合、点欠陥の濃度の違いにより大別できる。すなわち、濃度がppmのオ-ダ-の場合、破壊じん性は降伏応力とともに増加し、%のオ-ダ-の場合、逆に減少する傾向にある。この理由として、ppmのオ-ダ-の場合、点欠陥はき裂先端からの転位の生成に対してほとんど影響を及ぼさないが生成後の運動を阻害するため応力遮蔽効果をもたらすこと、%のオ-ダ-の場合、き裂先端からの転位の生成自体が点欠陥との相互作用により抑制されるため応力遮蔽効果が生じないことが考えられる。
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