| 研究概要 |
超音速旅客機開発の気運が高まりつつあるが,そのキ-テクノロジ-は超音速エンジンであり,インテ-クはエンジン性能を左右する重要な要素である.インテ-ク内の流動は前年度の研究でも明らかになったように衝撃波と逆圧力勾配中での境界層との干渉が本質的な非常に複雑な形態を持ち,工学的観点からだけでなく流体物理としても非常に興味ある問題である.それゆえ,その正確な理解なくしては効率よいインテ-ク設計が不可能である.
今年度の研究は,前年度に開発したインテ-ク内の超音速粘性流数値解析用の計算コ-ドの検証を行い,この種の膨張・圧縮の激しく計算条件的にきびしい流れに対するTVD風上計算手法の有効生性を調べた.また,衝撃波によるインテ-ク喉部近傍の境界層剥離は,実験では強い三次元性を示しており,これに対応するために数値シミュレ-ション法も3次元への拡張を行っている.同時に数値計算前処理としての格子生成法の開発を進め,インテ-ク設計ツ-ルとして利用可能になるよう環境整備を行った.後処理としの計算結果可視化法の開発整備も進め,ワ-クステ-ション上で2次元および3次元数値シミュレ-ション結果を会話処理的に調べることを可能とし,流れ場の理解を助けている.これら前処理・後処理は数値計算の工学的実用化に重要な役割を演じる.
インテ-ク流動は三次元性が極めて高く,その数値シミュレ-ションも3次元ナビエ・スト-クス方程式を用いて更に進める必要がある.ただしそのためにはワ-クステ-ションでは計算能力に限界があり,ス-パ-コンピュ-タ-を用いた超大規模な数値計算を行う必要がある.現在国立大学等に設置されている計算機では計算量の大きさから非常に因難であるが,テ-マの重要性から将来の計算機の発達を見込んで研究を更に進める必要があろう.
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