研究概要 |
平面衝撃波が衝撃波管内に設置された傾斜面で斜め反射する場合,表面が滑らかな個体であるとき,一定の人射マッハ数および入射角に対して,マッハ反射における三重点の軌跡角は一定に保たれ,その近傍の流れ場は相似に保たれる。しかし粉塵層上における衝撃波の反射の場合には,粉塵層表面からの反射と粉塵層内部への浸透した圧縮波の粉塵層下の個体壁からの反射等のために複雑な構造を呈し,入射マッハ数,入射角の2つのパラメタのみで現象を記述できない。そこで本研究では,前年度の研究成果を踏まえて,入射角,反射角,流れの偏角などを定量的に測定し,粉塵層が衝撃波の反射形態にどのような影響を与えるかを調べるために,1.粉じん層上の衝撃波の反射実験,2.凸凹のある二次元粉じん層モデル上の衝撃波の反射実験,3.二次元粉塵層モデル上の反射の理論解析,の各項目に付いて研究を実施した。その結果,以下のことが明らかになった。 1.粉塵層上の衝撃波の反射現象は凸凹のある二次元粉塵層モデル上の現象と以下の点で類似性が見られた。(1)測定された入射角,反射角の非定常変化から現象の非定常性が確認された。(2)入射マッハ数,斜面傾斜角が一定でも衝撃波の進行に伴って反射形態が正常反射からマッハ反射へ移行する場合がある(通常反射形態は入射マッハ数と傾斜角により一意的に決まる)。(3)滑らかな斜面上ではマッハ反射になるマッハ数,斜面傾斜角でも正常反射になることがある。これは吸込み効果を考慮した衝撃波理論からも裏付けられた。 2.吸込み効果を考慮にいれた衝撃波理論から,マッハ反射の場合にはマッハステム後方の斜面近傍流れの速度ベクトルは,斜面に平行にならず,数度の傾きを持つ.また正常反射の場合には8゚〜14゚の傾きを持つ。
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