原子炉用構造黒鉛のPGXとIG-11の試験片を用いて、衝撃引張り疲労実験を行った。主な結果をまとめると 1)金属や高分子材料に比べると、応力波の伝播に伴う減衰が大きく、試験片端面における反射効率も低いため、衝撃力によって生じる応力パルス波の高さは試験片の長さの影響をあまりうけない。 2)細粒のIG-11の方がPGXよりも衝撃疲労強度は高くなった。 3)両材とも低応力になると破断寿命が著しく伸びて、みかけの疲労限が存在した。この応力パルスの大きさは、応力-ひずみ関係が直線性からはずれる応力値と合致していた。 4)き裂進展挙動は、主き裂がその前方に生じた微小き裂と合体しつつ段階的に伸びていた。 5)切欠き材では疲労強度が低下し、黒鉛の強度には切欠きにより応力集中の影響がみられた。 これら成果は材料学会衝撃シンポジウムにおいて報告した。 炭素繊維複合材料の波動伝ぱ特性については、繊維方向の異なる層を半径方向に積層した円筒試験片内の衝撃圧縮ひずみ波及びねじり波の伝播特性を明らかにした。主な結果をまとめると 1)ひずみ波伝播速度は繊維方向の異る層の積層形態によらない。 2)圧縮ひずみパルス波の高さは伝播に伴って減衰するが、各繊維方向層の積層形態に影響され、繊維方向0°の層の数が少ないほどまた内側にあるものほど大きく減衰する。 3)静ねじり下での衝撃圧縮ひずみの伝播効率は積層形態の影響を受け、予ねじりによって低下する場合、殆どかわらない場合、わずかに上昇する場合などがある。 4)ねじり波の伝播に伴う減衰は圧縮波の場合より小さい。
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