初年度に続き、今年度は炭素繊維複合材料(CFRP)および黒鉛の試験片を用いて衝撃引張り疲労実験および衝撃圧縮下での動的構成関係の解明を行った。 CFRPについては、長繊維の方向が試験片長手方向に対して0^0と±45^0の二種類の層の積層順序を変えた14種類の円筒試験片を準備して衝撃圧縮および衝撃ねじりの下でのひずみ波の伝播速度と伝播効率の考察を行った。その結果、 1)伝播速度は各層の弾性率の複合則により評価した弾性率を用いて評価出来ることを示した。 2)ひずみ波パルスの伝播効率は衝撃圧縮に対しては0^0層の増すにつれて増すが衝撃ねじりに対しては減ずることを明らかにし、この結果は2層モデルによって説明できることを示した。 3)静ねじり下での衝撃圧縮による波動伝播は積層順序に複雑な影響を受けることなどを明かにした。 これらの結果は、平成3年7月の材料の力学的挙動に関する国際会議(ICM)において報告の予定である。CFRP試験片の衝撃疲労実験ではつかみ部で破壊が起こり、き裂は繊維方向に発生するため観測は困難となった。それらの解決法については今後も研究が必要である。さらに、経年劣化および予荷重の影響の解明が不可欠なことが分かってきた。 黒鉛については、通常材PGXと細粒材IG11の動的構成関係に及ぼす衝撃速度の影響を明かにした。その結果を簡単にまとめて記す。 1)圧縮速度が増せば、動的弾性率は低下する。 2)衝撃圧縮を繰り返すと、高速衝撃の場合の方が弾性率は大となった。 3)最初の数回の衝撃の繰り返しにより残留ひずみは増すがその後飽和した。
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