研究課題/領域番号 |
01550061
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研究機関 | 芝浦工業大学 |
研究代表者 |
大塚 正久 芝浦工業大学, 工学部, 教授 (20013732)
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研究分担者 |
横田 武男 芝浦工業大学, 工学部, 講師 (80052869)
金子 純一 日本大学, 生産工学部, 教授 (00120410)
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キーワード | アトマイズ / 急冷凝固 / 粉末治金 / アルミニウム / Al-Fe / クリ-プ / 分散強化 / 摩耗 |
研究概要 |
本研究は、新規の合金製造技法である「急冷凝固粉末治金法」をアルミニウム合金に適用し、(1)極微細で熱的に安定な硬質の第2相粒子を母相中に均一分散させた材料を創製すること、(2)その材料の高温環境下での力学挙動(特に耐熱性と耐摩耗性)を実験的に明らかにすることを目的として行われた。具体的には、Al-10%Fe合金アトマイズ粉末を5段階に分級し固化成形した試料(合金A〜E)について調べ、以下の成果を得た。 1.各合金とも、粒子の体積分率はほぼ同一(約18%)であった。合金Eから合金Aへと分散粒子の間隔が狭まるにつれて、また亜結晶粒径が減少するにつれて、降伏応力は大きく上昇した。第2相粒子(主にFeAl_3相)が母相内に均一微細に分散したが、一部にやや粗大な領域が残った。この組織は673K以下では熱的に安定であった。 2.各合金について、定常クリ-プ速度ε^^・_sと応力σの間に、ε^^・_s≧10^<-6>s^<-1>の範囲で次の関係が成立した。ε^^・_s=Aσ^nexp(ーQ_<app>/RT)。ここに、Aは定数、Rは気体定数、Tは絶対温度である。応力指数nは合金の種類によらずほぼ13となり、分散強化作用が明白に現われた。他方、ε^^・_s≦10^<-6>s^<-1>の範囲では、酸化物分散強化合金などでしばしば報告されているいわゆる「しきい応力」は現れず、応力依存性はかえって減少した。 3.クリ-プの見かけの活性化エネルギ-Q_<app>は約220kJmol^<-1>となり、弾性率の温度依存を考慮しても(約220kJmol^<-1>)、アルミニウムの格子自己拡散の活性化エネルギ-(Q_<SD>=142kJmol^<-1>)をはるかに上回った。 4.高応力、高温ほど延性が増す傾向がある。高温または高応力では、高延性に対応して無数の小さなディンプルが生成されるが、低温または低応力では、脆性破壊を示す微細な粒界ファセットが支配的となる。 5.粒子と転位との相互作用が吸引型と仮定し、ボイド強化反応力σ_vを仮想的なクリ-プしきい応力と見なせば、各合金の速度式はε^^・_s=B{(σ-σ_v)/G}^6 exp(ー143kJmol^<-1>/RT)により統一的に記述できる。
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