本年度はアトマイズ粉末冶金法によるAlーFe合金について、その実用化のために欠かすことのできない固相接合特性の調査と評価を重点的に行った。方法と主な結果は以下のごとく要約される。 【方法】供試材は、純度99.99%のAlと99.9%のFeを原料とし、以下の工程を経て作成されたAlー7.9%Fe合金(Si:0.35%、0:0.0012%、組成はすべてmass%)の押出しまま材である;高周波溶解(Ar中)→Heガスアトマイズ→分級(≦149μm)→金型圧縮(約70%)→真空脱気(673K、≦10^<ー3>Torr)→真空封入(Al缶)→ホットプレス(673K)→外削→熱間押出し(673K、押出し比=11.2、直径20mm)。試料端面を脱脂洗浄後、制動式摩擦圧接機により、大気中で接合させた。接合条件は以下の通り:回転数=毎分3500(一定)、摩擦圧力=50〜100MPa、摩擦時間=2〜7s、アプセット圧力=100および150MPa、アプセット時間=5s(一定)。得られた継手について、組織観察、硬さ測定、引張試験、衝撃試験を行つた。引張試験片のゲ-ジ部寸法は、直径7mm、長さ30mmである。 【結果】[1]摩擦圧力(p_1)、アプセット圧力(p_2)、アプセット時間(t_2)が一定のとき、全寄りしろは摩擦時間(t_1)とともに単調増加した。例えばp_1=80MPa、p_2=100MPa、t_1=3s、t_2=5sのとき、全寄りしろ=10mmであつた。[2]継手の接合部に厚さ約2mmの接合層が形成され、この領域でわずかに硬さが低下した。[3]図1に継手の引張強さ、伸びと摩擦時間との関係を示す。引張強さは248〜264MPa(母材強度の90〜95%)に及び、しかも接合条件にあまり依存しない。破断伸びはt_1=2〜5sで3.9〜4.5%、t_1=6sで2.9%となり、母材値(27%)よりずつと小さい。
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