研究概要 |
1、平成元年度において確立した基礎式に基づき,2種の負荷履歴に対し,多孔貭中空円筒の温度解析・熱応力解析を行い,流体の加圧・圧入による能動的冷却と熱応力の緩和・軽減の効果について明らかにした。結果を要約すれば,(1)円筒壁内の最高温度を低く押さえ,周方向応力の引張りの最大値を極力小さくし,なおかつ過大な圧縮応力を避けるためには,外部からの流体のわずかな加圧・圧入は有効である。(2)ビオ数が小さいときは,流体の加圧・圧入による温度と熱応力の能動的な制御が容易である。(3)円筒内に引張り応力が発生しないようにするため必要な圧入圧力を求め,ビオ数の関数として示した。(4)圧入圧力の喪失に伴う最高温度と最大応力の急上昇は,復旧までの時間が短かければ,比較的小さく押さえられる。 2、平成2年度に引継き,流体を含む多孔貭機(水で飽和したガラスビ-ズ焼結体)の中の応力波の位相速度の測定を超音波パルス法により行い,次の結論を得た。(1)第二圧縮波の検出に成功し,この波の存在を予測したビオ理論の正当性を示した。(2)第一圧縮波とせん断波に関しては,その理論値において多孔貭機の有効弾性係数の決定が問題になり,その真の値は空隙形状を針状とした「弾性波散乱に基づくセルフコンシステントモデル」と「静的セルフコンシステントモデル」の両複合則の間にあると推測された。(3)第二圧縮波の測定値から,従来のト-チュオシティ-の評価式が必ずしも正確なものではないことが分かった。 3、2次元円形粒子のランダム充填シミュレ-ションと有限要素法による粒子ペアの3自由度バネ定数の計算を統合して,3自由度バネのランダムネットワ-クの応答解析を行うことにより,円形粒子焼結体の有効弾性係数を求める方法を確立した。
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