超高温環境下に於ける不均質複合材料の熱応力緩和に関する解析的研究

1989 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 01550076
• 研究機関: 大阪府立大学
• 研究代表者: 谷川 義信 大阪府立大学, 工学部機械工学科, 教授 (30081219)
• キーワード: 熱応力解析 / 高温用新素材 / 金属基複合材料 / セラミックス-軽金属不均質材料 / 理論解析 / 非定常応答

研究概要

本年度の研究経過としては、交付申請書に記載した研究実施計画に概ね沿ったものであり、実施計画がほぼ達成されたと考えている。具体的に取り扱った研究テ-マは以下の通りである。(1)一様表面加熱及び非一様表面加熱を受けるアングルプライ積層厚板の非定常熱応力問題、(2)非軸対称加熱を受ける多層層状複合円筒及び不均質円筒の平面非定常熱応力問題、(3)部分加熱を受ける多層層状ビ-ム及び不均質ビ-ムの非定常熱応力問題、(4)移動熱源の作用を受ける層状厚板及び不均質厚板の非定常熱応力問題、(5)軸対称加熱を受ける層状複合円筒及び不均質円筒の熱弾性的非定常逆問題、(6)球対称及び軸対称加熱を受ける多層複合中空球及び不均質中空球の非定常熱応力問題、(7)周辺固定或は周辺単純支持された多層層状長方形板及び不均質長方形板の非定常熱弾性応答、(8)多層層状ビ-ム及び不均質ビ-ムの熱弾性的不安定挙動及び非線形挙動、以上の研究テ-マに関して得られた成果の一部は以下の通りである。(a__-)テ-マ(8)で取り上げた課題は、熱的負荷を受ける層状複合体或は不均質体の非線形応答及び不安定分岐現象(座屈挙動)を解明しようとする全く新しい問題設定の最も簡単な解析モデルである。得られた数値計算結果の検討により、理論解析の妥当性が保証されていると判断出来る。従って、この解析的手法により、層状複合体或は不均質体からなる平板、球殻及び円筒殻などの非線形挙動及び不安定挙動の解明が可能と考えられる。これらの拡張については次年度に研究課題として取り上げる予定である。(b__-)テ-マ(5)で取り上げた課題は、最近固体力学の分野で注目されている、いわゆる逆問題解析を不均質体の熱応力問題について検討したものである。このテ-マについても数値計算結果の検討を基に、理論解析の妥当性が伺われる。従って、他の種々の幾何学的形状を持つ領域に対する熱弾性的逆問題の解析が可能と考えられる。

研究成果

• [文献書誌] 大多尾義弘: "一様表面加熱を受けるアングルプライ積層厚板の非定常熱応力" 日本機械学会論文集,A編. 55. 2002-2008 (1989)
• [文献書誌] Yoshihiro Ootao: "Transient Thermal Stress Analisis of a Multi-Layered Composite Hollow Cylinder due to Asymmetric Heating and Its Application to Non-Homogeneous Materials" Theoretical and Applied Mechanics. 38. 177-188 (1989)
• [文献書誌] Yoshihiro Ootao: "Transient Thermal Stress and Thermal Deformation of a Laminated Composite Beam due to Partially Distributed Heat Supply and Its Application to Nonhomogeneous Material" Journal of Thermal Stresses. 13. (1990)
• [文献書誌] Yoshihiro Ootao: "Transient Thermal Stress Analysis and Bending Behavior of an Angle-Ply Laminated Slab due to Non-uniform Heat Supply from its Surface" Journal of Thermal Stresses. 13. (1990)
• [文献書誌] 大多尾義弘: "移動熱源による多層層状複合平板の非定常熱応力とその不均質材料への拡張" 日本機械学会論文集,A編.
• [文献書誌] 谷川義信: "軸対称加熱を受ける不均質中空円筒の逆問題非定常解析" 日本機械学会論文集,A編.