研究分担者 |
KASANO Hideaki Takushoku University, Dept. Mech. Sys. Eng., Associate Professor (40016663)
KASANO Hideaki Takushoku University, Dept. Mech. Sys. Eng., Associate Professor (40016663)
KASANO Hideaki Takushodu University, Dept. Mech. Sys. Eng., Associate Professor (40016663)
KASANO Hideaki Takushoku University, Dept. Mech. Sys. Eng., Associate Professor (40016663)
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研究概要 |
本研究の目的はCFRP(炭素繊維強化樹脂複合材)積層板の耐衝撃特性を積層構成に着目して改善すること,すなわち,構成素材である炭素繊維一方向プリプレグシ-トの積層順序・配向・積層数をどのように選択すれば衝撃損傷が最も軽減できるかを明かにすることである。そこでまず,衝撃損傷を人工的に発生させるために空圧式衝撃試験機を設計・製作した。 本試験機は直径5mmおよび10mmの鋼球をそれぞれ最大160m/secおよび120m/secで発射させることが可能であった。 さて,衝撃による損傷は繊維の配向角が変化する層間界面で剥離の形態で発生することが予想される。 そこで,試験片としてはこのような界面をもち,後述の顕微鏡観察を容易にするために〔0゚ CC6DD/θ゚ CC6DD〕の積層構成をもつ斜交積層板を対象とし,斜交角をθ゚=15,30,45,60,75および90の6種類に変化させた。また,衝撃試験では上述の2種類の鋼球を用い,衝撃速度はいづれも60.4m/secとした。 そして,この条件で鋼球を各試験片に垂直に衝突させた後,まず,試験片内部を超音波顕微鏡で観察し,ついで試験片を切断してから断面を走査型電子顕微鏡で観察した。 得られた主な結果は次の通りである。(1)繊維方向が変化する2つの層間界面,0゚/θ゚とθ゚/0゚で特徴的な剥離損傷が観察され,その大きさは前者に比べて後者の方がはるかに大きい,(2)この損傷は鋼球の直径や斜交角が大きいほど大きくなる,(3)板の厚さ方向に,衝撃点を中心として放射状に多くのトランスバ-スクラックが発生する,(4)上記2つの界面以上に発生していると思われる剥離損傷に対応するクラックが認められる,(5)衝撃前後で初期圧縮弾性係数はほとんど変化しない,(6)圧縮弾性係数は斜交角が大きくなるにつれて低下し,古典積層理論による予測値と同様の傾向を示す。 以上の結果から,繊維の配向が衝撃損傷の軽減に大きく関与すること,また,断面のトランスバ-スクラックの発生を抑止することも必要であることなどがわかった。今後は理論的観点から本問題を考察していく予定である。
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