研究概要 |
本研究では,静的陽解法に基づく板殼体の弾塑性有限素法を用い,CADシステムとの連携を行うことで板成形数値シミュレ-ション・コ-ドの開発を行った.この有限要素コ-ドを組み込んだ仮想生産システム(エキスパ-ト・システム)のプロトタイプを完成させた.実際の自動車車体の成形加工実験による解析手法の精度の検討を行い,材料および幾何学近似(板殼理論)に関する問題の解決,および成形制御因子を用いた最適工程設計の可能性に関するいくつかの試みを行った.つまり,有限要素解析法の高機能化とCAEエキスパ-トシステムの構築である. 有限要素解析法の高機能化では,(A)非線形板殼理論に基づく有限要素法定式化,(B)Barlatの提案した異方性降状曲面を用いた修正コ-ナ-理論に基づく速度形構成関係式の安定化,(C)瀬口らの提案した摩擦構成関係式を用いた非線形接触問題の速度形・陽解法定式化,(D)表面処理板材の摩擦特性実験により摩擦特性表現式の導出とそれによる変形・ひずみ分布,さらには成形限界への影響の検討を行った. CAEエキスパ-トシステムの構築では,(a)板成形用デ-タベ-スの構築:冷延鋼板および表面処理材,さらにアルミニウム板の材料特性値,摩擦係数計測結果,工具形状,絞りビ-ド抵抗力,加工速度,単動および複動プレスなどの加工工程に関するデ-タベ-スを構築した.これらは,シミュレ-ションのための入力デ-タとして利用された.(b)CAD(IGES)標準デ-タとのインタ-フェ-スによる有限要素解析用入力デ-タ作成のための工具表面形状幾何学モデリング手法の開発を行った.(c)ファジィ推論を用いた成形難易度(くびれ,しわ,および残留応力を用いたスプリングバック)メンバ-シップ曲線により最適工程制御に関する計算シミュレ-ション手法の提案を行った.
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