研究課題/領域番号 |
01550085
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
前川 克廣 茨城大学, 工学部, 助教授 (20126329)
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研究分担者 |
大島 郁也 茨城大学, 工学部, 助手 (80007632)
村田 良司 茨城大学, 工学部, 教授 (70201811)
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キーワード | 超精密加工機構 / コンピュ-タシミュレ-ション / 分子動力学法 / 原子間ポテンシャル / 微視的破壊現象 / 結晶異方性 / 加工限界 |
研究概要 |
本研究は機械的微細加工における加工限界を明らかにするために、原子の移動、分離あるいは付着といった微視的レベルにおける加工のメカニズムを扱えるような物理モデルを構築し、コンピュ-タシミュレ-ションによりその妥当性を検討した。その結果、以下の知見等の成果を得た。 1.2886個の原子からなるSi単結晶をコンピュ-タの中に作成し、レナ-ド・ジョ-ンズ型の原子間ポテンシャルを仮定して、分子動力学法を使って、せん断変形をシミュレ-トした。転位がクラック先端に発生するが、1原子面抜いてクラックを作った結晶では、クラックがない結晶より公称ひずみが大きくなってから発生した。 2.切削工具による原子の除去過程を扱う場合には、工具を構成する原子と被削材原子の相互作用の与え方によって、クラックの発生・進展方向およびこれに要する力が大きく異なる。したがって、微視的な摩擦モデルの導入が、より現実的な加工限界を明らかにするうえで必要不可欠である。 3.イオン結合結晶よりも共有結合結晶のセラミックスの方が精密加工性が良いことが実験的に知られている。原子間ポテンシャルに結晶の方向性を考慮することによって、共有結合結晶の方がクラックの発生・進展とこれに要する力において、原子層の除去が好都合になる場合のあることを示した。 4.さらに、結晶に含まれる点欠陥を乱数で与えた原子モデルを用いて、分子動力学法によって切削過程をシミュレ-トした。除去されるべき原子層の厚さを減少させていった場合に、ある厚さ以下になると、転位の発生が少なくなり、急激に大きな力が必要となることを明らかにした。
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