研究概要 |
現在使用されている超精密位置決めのアクチュエ-タは、PZT素子、つまり電歪を利用したデバイスが主流を占めており、本研究の超磁歪を利用した例はみられない。ここでPZTの問題は、高出力が欲しいことまた積層数を増し、高電圧にすると短絡すること、および3kgf/mm^2以上の荷重をかけると圧壊する等の問題がある。 本研究は、PZTが軽重量物をÅオ-ダで移動することに優れた特性を持つことに対して、それより周波数特性が劣るものの大出力で、大変位を持ち、超精密位置決めができる新素材の開発とそれによるデバイスの製作を考えた。 超磁歪材料はRF_2にこれまでの研究経緯から的を絞った。Rは、SmDy、Tb、Ho、Er、Tmとの適正配合を考えた。研究は、弾性率E^<YH>、E^<YB>、エネルギ密度、磁歪、機械結合係数、および磁歪についてCADによるコンピュ-タ検討を行った。その結果TbFe_2、DyFe_2、Tb_<0.3>Dy_<0.7>Fe_2、Tb_<1.5>Ho_<0.85>Fe_2、Tb_<0.55>Dy_<0.45>Fe_2、Tb_<0.46>Ho_<0.54>Fe_2、Tb_<0.53>Dy_<0.34>Ho_<0.13>が超磁歪を発現することが明らかとなった。つぎに、Tb_<0.3>Dy_<0.7>Fe_2を用いて、超精密位置決めデバイスの製作に入った。まず、超磁歪アクチュエ-タの磁界設計を有限要素法を用いて最適設計を実施した。つぎに、科研費の設備費で購入したラップトップパソコンJ3100,DVM(GP-IB付)、電源(パワ-ソ-スとコントロ-ラ)、デジタルボルトメ-タを組み合せ、試作した超磁歪位置決め装置の計測評価を行った。超磁歪入=2000ppmが得られた。PZTの5倍出力PZTの2〜40倍が得られた。また超精密位置決めは、50nmまで達成できた。問題は、ジュ-ル熱による熱変位が現われたので、これを制御するシステム開発がキ-ポイントとして残った。現在±0.01℃まで制御できるデバイスをCAD検討中である。
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