研究課題/領域番号 |
01550092
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
上田 完次 金沢大学, 工学部, 教授 (50031133)
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研究分担者 |
西 誠 金沢大学, 工学部, 助手 (00189250)
杉田 忠彰 金沢大学, 工学部, 教授 (70019769)
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キーワード | 切削工具 / 工具欠損寿命 / 保証試験 / 加工システム / 破壊力学 |
研究概要 |
切削加工システムの自動化、最適化を推進する上で、工具欠損への対策が重要な課題となっているのは周知のことである。これまではその前駆現象をアコ-スティックエミッションなどにより事前検出することや欠損寿命の解析的予測に基づいて工具交換や切削条件の修正を行うことが試みられて来た。しかしながら、欠損は突発的かつ確率的な事象であるため、その対策は極めて困難である。そこで本研究では、切削工具に過大な負荷を予備切削状態で与え、脆弱な工具は破棄し、残存した工具で加工を続行するというインプロセス保証試験の概念を提案し、加工システムの信頼性を向上させることを目的としている。 平成元年度における本研究の実績の概要は、次の通りである。 まず、確率を加味した破壊力学の適用により、断続切削中の欠損寿命Nc(欠損に至るまでの断続切削回数)関数の定式化を行うとともに、その基礎デ-タとなるき裂進展速度パラメ-タをセラミック工具に対して求めた。ついで、保証試験を通過する工具の残存確率P、並びに、保証試験における負荷応力(すなわち、対応する切削抵抗変動値△F)の関係を求め△F-P-Nc線図を作成し、本手法の理論的根拠を明らかにした。この△F-P-Nc線図に基づいて、切削工具のインプロセス保証試験をCNCシステムに付与する制御アルゴリズムを開発した。そして、制御アルゴリズムに従い、既設のCNC旋盤と圧電型切削動力計、並びに購入予定のマイクロコンピュ-タを用いてシステムを構成するとともに、実際に断続施削実験を行った。また、保証試験を通過した工具の信頼性向上による利得と、保証試験によって破棄される工具の損失を総合的に考察し、本手法の有効性を評価した。
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