3次元粗さ形状の機能特性を評価する上で重要な3次元粗さ形状評価法と工学表面が機能に密接に関連する性状特性について検討した結果得られた主な成果は次のように要約される。 粗さの測定評価 (1)工学表面の3次元粗さ形状特性値、例えば、ピ-ク数サミット数、ゼロクロッシング、突起の平均傾斜、突起の平均曲率および任意の位置での切断面積等は断面および表面スペクトルモ-メントが計測できれば定量評価できる。 (2)断面および表面スペクトルモ-メントの計測に当たっては、任意の起点を中心に5方向の断面曲線が測定できれば求められる。 (3)断面曲線からスペクトルモ-メント解析を行なうに当たっては、断面曲線は5〜7次の自己回帰過程モデルで同定するのがよい。 3次元性状と機能特性 (1)工学表面の等方性、非等方性特性が評価できる指標を導出した。 導出されたパラメ-タΛ_2、Λ_4を用いて実際の機械加工面、例えば、ベルト研磨面、研削仕上面、サンドブラスト面、放電加工面、施削加工面および圧延加工面等について検討を試みた結果O≦Λ_2、Λ_4≦1の領域で工学表面は4つの領域に分類される。そして、機械加工面はこの領域のどれかに属し、また機能と密接に関連する非等方性領域は全体の25%に相当することが明らかになった。 (2)機能特性の一つである工学表面の意匠性についてベルト研磨面の視覚評価を3次元粗さ形状特性値について検討した結果、高級品質感を与える粗さ形状特性は次の範囲にあることがわかった。ピ-ク数≧42MM、0.7μm≦中心線平均粗さ≦1、8μmゼロクロッシング数≧27mm、45≦光学特性粗さSn≦80。
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