研究概要 |
平成元年度において,複合材料の超音波振動穴あけが穴出口のばり,かえり,裂け,変質等を抑止するのに卓効があることがわかったので,極めてばりの発生しやすいアルミニゥムに対して超音波振動穴あけの組織的実験的研究を行なった.この場合の超音波振動方向は従来の常識に反して送り運動方向であり,本振動モ-ドで傾斜切削の利点を十分発揮させるため本研究課程で開発したラジアルペリフェラルリップドリルを適用した.また,前年度の実験により超音波振動振幅の影響が大きいことがわかったので同振幅を3.5μm〜20μm間で変化させその効果をしらべた. 上記の実験でえられた第一の結果は,アルミニゥムの穴あけに超音波振動を加えることによってスラスト力は数分の1に低下し,その効果は振幅の大きいほど大きい. 超音波振動振幅が13.5μm以上であればラジアルペリフェラルリップドリルの場合勿論であるが,標準ドリルでも十分ばりの発生を抑止できる.しかし,超音波振動振幅が13.5μmより小さい場合(超音波振動を加えない場合を含めて)はラジアルペリフェラルリップドリルのばり抑止効果が大きく強調される. ばりの発生とその大きさは通常可成りばらつくものであるので本実験においては同一条件で何回も繰返して信頼性の高いデ-タを得た.また,超音波振動をドリルの送り方向に加えて顯著な効果が得られることが実証されたため,工作機械の構造が極めて簡単になることと併せて超音波振動穴あけの実用化の展望を開くことができた.
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