本研究は、紫外の高出力レ-ザに使用できる高精度、高透過率もしくは高反射率、高レ-ザ耐力、高信頼性を有する平面光学素子を提供し、高出力エキシマ・レ-ザおよびレ-ザ核融合の開発を側面より強力に支援することを究極の目的とする。本年度は、以下のように紫外用光学材料の超精密加工、加工表面の微細表面粗さ測定システムの構築、高出力レ-ザ照射による表面機能の測定を行なった。 1) レ-ザ・ガラスを超精密平面研削盤とSD1500ー75ーBダイヤモンド砥石を使用するワンパス研削により、表面粗さRmax5nm以下の光学面が得られた。紫外用反射鏡材料としてはCVD-SiC on SiCが理想的な材料と考えられ、これをフロ-ト・ポリシングした。CVD膜の配向性が十分でなく、膜内の結晶方向が一定でないため、粒界段差が生じたが、単一結晶粒内では0.2nmrms以下の表面粗さが得られた。今後はより配向性の良いCVD-SiC膜の作製を図る。透過用材料として合成石英を選び、これをフロ-ト・ポリシングした結果、表面粗さ0.14nmrmsが得られた。 2) 超鏡面の表面評価法を確立するために、米国マイケルソン研究所のベネット博士を招へいして、Talystepによる世界最高感度の触針式表面解析システムを構築し、ノイズレベル0.05nmrms以下の表面粗さ測定を可能にした。セイコ-電子工業と共同で、ノマルスキ-式微分干渉顕微鏡塔載の走査型トンネル顕微鏡を開発し、各種表面の評価を行なった。導電性のない試料に対しては日本電子と共同で、大型試料用マグネトロンスパッタ装置を開発し、購入・設置した。 3) 超精密研削および光学研磨したレ-ザ・ガラスLHGー8表面に集光した高出力レ-ザを照射して、レ-ザ耐力を測定した結果、従来の光学面のレ-ザ耐力15J/cm^2に対し、研削面では25J/cm^2が得られた。
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