研究概要 |
エンドミル加工では工作機械への工具の把持方式が片持ち支持であるため、工具のたわみに基づく加工の誤差はされられない。しかし工具の曲げ剛性を上げると同時に切れ刃に作用する切削力や押しならし力を減らすことによって、誤差を減らすことは可能である。 「高剛性精密仕上げエンドミルの開発とその切削性能」と題した論文ではエンドミルの切れ刃に作用する押しならし力と逃げ面磨耗面積との関係を明らかにした上で、押しならし力を減らし得る切れ刃先端形状の開発を行った。また「微小ニック付きエンドミルの開発とその切削性能」と題した論文では、被削材と切れ刃との接触面積を減らすことや切れ刃をくさびに成形することによって、押しならし力を大幅に減らすことを試みた。これらの研究を進めていく過程で、工具のたわみを更に減らすためには切れ刃に作用する切削力を減らす必要があることを認識した。 「深リブ仕上げ加工用エンドミルの開発とその切削性能」と題した講演論文では、切れ刃のねじれ角を10°から80°の範囲で系統的に変化させた一枚刃エンドミルを試作すると共に、切削実験を行うことによって切削性能に及ぼすねじれ角の影響を明らかにした。その結果、切れ刃の同時切削刃数が常に2枚になるように切削条件に制限をつければ、切れ刃のねじれ角を増すことによって切削性能を大幅に改善することが可能であることを見い出した。 このように得られた研究の成果を踏まえ、現在高剛性であると同時に切れ刃に作用する切削力や押しならし力を減らすことが可能なエンドミルの試作を行っている。工具材種には焼結ダイヤモンド,焼結CBNを用いている。主としてハイシリコンアルミニウム合金の高速切削に用することを予定している。
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