今日、3次元測定機は機械工業の様々な分野で活用され、その有用性が広く認識されている。しかし、測定範囲は限られており、ほぼ乗用車の大きさが上限である。いっぽう、近年、いわゆる重厚長大型の工業分野における技術の高度化、ならびに生産体制の革新が重要視されてきているのに伴い、この分野でも3次元測定の要求が強まっている。このような背景から本研究では、数メ-トルから数十メ-トルの大きさの構造物の形状・寸法を10^<-5>〜10^<-6>の精度で測定できる測定システムの開発を目指して、初年度は測定原理の検討を行ない、第2年度はその応用の一例として、長大吊橋主塔部材の加工精度のon the machine計測を行なった。 長大吊橋主塔のような大型構造物の完成形状は個々の部材の形状精度に依存している。このため、部材には極めて高い加工精度が要求されており、その実現にはon the machine計測が最も望ましいが、これまでの適当な計測方法がなかったものである。 測定対象部材は6mx6mx5mの鋼板溶接製品で、その仕上げ加工後の形状・寸法精度に関して、接合される面の平面度、両端面間の距離および平行度など10項目以上の規定がある。実験では、本研究で開発した3次元測定システムによってこれらの測定が迅速に行なえることを確認した。また、測定精度は±0.2mmを達成できた。さらに、レベル、セオドライトなどを用いた従来法でon the machine計測が可能な項目については両者の測定結果を統計的に比較した。その結果、本測定方法は従来法より高い信頼度を有していることが確認された。 以上のように、当初の研究目標をおおむね達成できたと考える。今後はさらに測定対象を広げてfeasibility testを重ね、システムの完成度を高めたい。
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