本研究により超音速窒素流中のグロ-放電励起と炭酸ガス超音速流混合を組み合わせた放電混合型レ-ザ-の基本的特性が明らかにされた。特にグロ-放電・高周波を用いた予備電離を含む実験手段の開発による、超音速窒素流中のグロ-放電の充分な維持と放電入力の増大が、レ-ザ-特性の高度化に不可欠であることが判明した。本研究では4本の8mm内径の7.5cm長さガラス管内の窒素流(流れマッハ数2.5程度)でグロ-放電を行ない、投入電力(陰極降下電圧分を含む)を1.5KWまで増加させることができた。これは申請者らの従来の流路と放電形式に対し40%以上の増加である。また、超音速混合域から20cm程度下流に設置した84mm長さの安定化共振器より80W以上の炭酸ガスレ-ザ-出力(赤外線;主発振波長10.6μmの多モ-ド発振)を取り出すことができた。 また、本研究ではグロ-放電中の電子エネルギ-分布に関するボルツマン方程式と準一次元分子振動非平衡超音速流に関する方程式系を連立させた数値解析を開発し、放電混合型超音速レ-ザ-の流れ諸量および微小信号利得係数特性を得た。また光の増幅方程式を組み合わせたレ-ザ-出力解析を確立し、得られたレ-ザ-出力を実験結果と比較することを可能とした。解析により求められた微小信号利得係数の特性およびレ-ザ-出力特性は実験結果と良く一致し、本研究により放電混合型レ-ザ-の基本的特性と作動条件は解明されたと考える。今後の研究展開としては、窒素流中で超音速を維推したままグロ-放電距離をどの程度まで増大する事が可能か、また同時に放電電極材料を改良し、放電投入電力を最大どこまで増加する事が可能か等の点を、本研究の結果と解析手法を適用して解明する計画である。
|