減圧CVD法による膜成長を、分子運動論によりシミュレ-ションする解析法を確立した。減圧下なので膜成長は表面反応律速で進むと仮定し、キャリア(水素)中でのソ-スガス(シラン)の分子運動を、ボルツマン方程式の確率解法であるモンテカルロ直接法でシミュレ-ションすることにより、膜の成長速度が比較的容易に求まることが分った。反応炉としては (I)2次元水平型反応炉 (II)軸対象拡散炉の二つの場合について考えた。 前者の場合にはつぎの結論が得られた。 (1)減圧の度合を増すと基板上にシラン濃度のジャンプが現われ、従来用いられて来た拡散理論は成立しない。 (2)膜厚分布の均一性を高めるには、圧力を下げ、表面反応の確率を下げ、キャリアガスの流速を増加すればよいことが、定量的に明らかにされた。 後者の(II)の場合には、つぎの、結論が得られた。ただし円板状のウエハは百枚程度あるものとする。 (1)各ウエハ上での膜成長速度を同じにするには、表面反応確率を非常に小さくし、ある時刻に流れを逆転すればよい。 (2)反応確率Pが小さいとき、成長速度はPに比例する。 (3)ウエハのエッヂでは流れの巻込みやよどみのため、膜厚が減少したり増加したりすることが、分子運動のシミュレ-ションにより分かった。
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