(1)空気、0_2、N_2を作動流体とする非平衡プラズマ発生装置を試作した。プラズマト-チは銅陽極とハフニウム(Hf)陰極を持つ。Hf電極により従来と比較して酸化反応による電極の損傷と不純物が大幅に減少した。プラズマ噴流のコアの長さは2〜6cm、温度は圧力と放電電流に依存して4000〜9000Kであった。コアの分光測定から、O_2と空気の場合は、多くのO原子線とO原子起因の連続放射が観測され、O原子が豊富に含まれていることが確認できた。物質と非平衡プラズマ流の代表的干渉問題として空気プラズマ中でポリエチレンとタングステンの有効アブレ-ション熱を測定した。ポリエチレンのそれは4250kJ/kgとなり、従来の希ガスの値より10%程度低くなった。これは活性な酸素の存在による発熱酸化反応のためである推定している。 (2)鈍頭物体前方の低密度岐点衝撃層において、非平衡解離速度係数、分子振動緩和の断面積、振動ソ-ス項、ショックスリップなどの、熱流体パラメ-タと岐点熱伝達に対する影響を数値的に検討した。空気に対する近似として純窒素を仮定し、反応は物体の曲率半径が小さく電離反応が無視できるとして解離反応のみを考慮した。これらのパラメ-タは、衝撃層内の放射加熱関連の流れ変数には大きい影響を及ぼすが、岐点熱伝達係数にはあまり影響を持たないことが判った。 (3)モアレ・シュリ-レン法を非対称ノズルからの空気超音速不足膨張流の密度測定に応用し、三次元流れ場の構造、モアレ法の円形、非円形軸対称膨張流への適用性について検討した。圧力比4〜13に対してモアレの可視化デ-タを画像処理し、筆者らのフ-リエ級数を基礎とする変換式により実空間分解を行った。実験結果から円形・正方形ノズルからの不足膨張流の基本的構造が明になるとともに、本方法は非対称性のある噴流の構造を知るには大変有効であることが判った。
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