熱交換器のフィンの最適形状と配置を特定するに当り、種々な断面形状を持つ長方形断面フィンを複数個、列状に配置し、その断面形状とすきま間隔を変え、流れの様相、温度分布、熱伝達率を風洞実験と数値計算によって、流体・熱力学の両面から明らかにする。フィンまわりの流れは、層流・遷移・乱流などの流れの様相変化、後流の大規模構造流れや後流渦とも密接に関連して、非定常の不均一の流れパタ-ンを呈する。 そしてその不均一流れは、時間的に不規則に変わるセル構造状のはく離流れ領域の発生を伴うため、流体・熱力特性は極めて複雑となり、未だ不明なことが多い。本研究は、風洞実験および数値シミュレ-ションによって、フィンの最適形状と配置についての基礎的研究を行い、複数個の列状ブラフ・ボデ-まわりのはく離を伴った乱流を含む流れと温度分布の数値シミュレ-ション法およびその計算コ-ドを開発する。平成2年度に実施計画した研究は、順調に進行している。すなわち、風洞実験によって、2種類の断面比の長方形断面の角柱列について角柱列表面圧力分布および後流の速度分布などの測定により流れパタ-ンの予測を行い、角柱列における偏り流れの発生、偏り流れの間欠的時間変動の様相、偏り流れ発生の臨界すき間間隔、後流セルの構造の様相などについて、種々な新しい知見を得た。一方、数値シミュレ-ションは、従来の計算アルゴリズムでは数値的不安定となる欠点を改善し、複数個のフィンまわりの温度場の計算を含んだ新たな計算コ-ドを開発、完成した。そして、種々な断面形状のフィンまわりの流れと温度場の数値シミュレ-ションを行い、断面形状による熱伝達と流れのはく離形態などの流れパタ-ンの変化との物の相互関係を明らかにし、実験および数値計算結果から多くの知見を得た。研究成果の一部は、機械学会講演会(第67期通常総会、上智大)、日韓流体工学会議(第2回、ソウル)で公表した。
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