これまでの研究代表者による理論解析では、遠心羽根車がボリュ-ト中にある場合や羽根角の小さなベ-ン付ディフュ-ザ中にある場合には、羽根車とボリュ-トあるいはディフュ-ザの流体力学的干渉によりふれ回り振動が発圧する可能性が示されている。本研究では、他の要因を排除した条件下で、上記干渉による自励振動が発生する事を実証し、励振力発生機構を実験的に解明するため、次の実験装置を製作した。 (1)軸の固有振動数f_0を、回転数f_Iに比べて小さく設定できる様、垂直軸をつり下げる形式とした。これによりf_0の最小値を約1Hzとできた。 (2)羽根傾斜の影響、ジャイロ効果、トルクホワ-ルの影響を小さくするため、羽根車経10cmに対し軸長を65cmと長くとった。これにより、装置の最大回転数15000rpmまで自励振動を生じることなく回転数を上げることができた。羽根車は完全に二次元形状で、face sealを用いた。 (3)軸系のダンピングを小さくするため、主軸をボ-ルベアリングを介して同軸のパイプで支え、そのパイプ工部をジンバルにより指示する構造とした。主軸はフレキシブルカプリングを介して工藤される。系の固有振動数は、パイプ下端のスプリングを変更することにより可変。現在までに装置の製作および軸振動のデ-タ処理システムの構成を完了した。空気を用いた予備実験により次のことが確認された。 (1)羽根角10°のベ-ン付ディフュ-ザを用いた場合には、ある回転数以上で明確な自励振動が発生する。ふれ回りは回転と同方向。 (2)上記自励振動の成長率は流波が大ほど大である。 (3)ディフュ-ザを用いない場合にはすべての回転数に対して安定。 以上の結果は理論を裏付けるものであり、今後種々の軸固有振動数、流量の下に振動の定量的測定、羽根車まわりの圧力分布の測定を行ない理論を対比させつつ励振動発生機構に考察を加える予定である。
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